アニメ

劇場版AIRの感想です。


ストーリー的なネタバレを
する気はありませんが
終盤の話なども書くので
未見の人は気を付けてください。


原作との違いから生じる
違和感などの問題を置いておけば
なかなかに感動的な
素晴らしい映画だったと思います。
途中何度か目頭が熱くなりましたし
(幸いな事に真田は原作への思い入れはゼロでした)


しかしトータルの感想を言うと
もうお腹が痛くて苦しくなるくらい
面白可笑しい映画でした。


本作の監督はもちろん出崎さんなんですが、
出崎さんの作品を見ているというよりは
よくできた出崎さんのパロディを
見せられているような感じなんですよ。


劇場版の監督が決まったときに
友達と冗談で
「出崎さんだからこういうことをやるんじゃないか」
なんて話しをしていたのですが
その時ふざけて言っていた事が実現していました。


しかもそれが感動的なシーンになる度に
強調して行われるので
なおさらおかしくて・・・
周りでは真剣に見ているお客さんも
たくさんいらっしゃったので
映画の鑑賞中は吹き出すのを堪えるのに必死でした。


ここで一応断っておくと、
真田はAIRを馬鹿にするために見に行ったのでも、
日記にこのような感想を書くことによって
手法が古臭いと馬鹿にしているわけではないです。


だって物語の最後の一番感動的なところで
ハーモニー処理の3回繰り返しをやるんですよ!!


出崎さんの作風を知っている人なら
あれはおかしくて仕方がないと思う!


解からない人に説明するなら
「明日のジョー」タッチで「AIR」を大真面目にやる
とでも表現すればよいでしょうか


画面は常に目が痛いくらいの
強い光線が差し込んでいるし、
事あるごとにハーモニー処理は入るし、
3回繰り返しはやるし、
時折あの透明感溢れる絵柄に
やたらとガサガサした影が付くし・・・


出崎さんを知らない人なら
演出の効果だと素直に受け止められるかもしれませんが
知っている人間がアレを見たら
「アハハ、出崎さん、それはやりすぎだよ〜!」
と思わず突っ込みを入れてしまうに違いないと思うのです。


そうそう、
パロディーみたいといえば
画面構成もまるでパロディのようでした。


すべてのカットが不自然なまでに
「まるで劇場版のようなやたらと凝ったカット」
で構成されているのですよ。


手間がかかった良いカットばかりなので
それはそれで見ていて嬉しいのですが
「典型的な劇場版のカット」ばかり
連続して見せられるので
それがまたおかしくて・・・


アイレベルは微妙にずらされているか、
もしくは極端に高いか低いかのどちらかで、
やたらと画面の奥行きを強調したカットが多く、
カメラが引くとレンズは広角で画面の端が歪み、
地面から垂直に立っている物体は
絶対に傾斜して描かれているのです。
更にそれを人物でわざとらしく
やったカットもあったし・・・
(顔とか身体が歪むあれですよ)


う〜ん、真田の文章ではこの可笑しさは
上手く伝えることが難しいです。
どう書けばよいでしょう・・・


真田の勝手な思い込みで恐縮なのですが
出崎さんのアニメというと
「安くて泥臭い」というイメージなのですよ。


それが今回の映画は
「出崎さんで泥臭くて不自然に豪華で
 なぜかAIRでしかも大真面目」
という感じなんですね
このあまりのギャップが可笑しかったのです。


ただ、原作の存在を無視して感想を言わせて貰うと
(何しろやっていないもので・・・)
真剣に見ても、真田のように不真面目に見ても面白い
かなりのオススメ作品でした。